「ジミー・ペレス警部もの」

「シェトランド四重奏」と「ジミー・ペレス警部シリーズ」 アン・クリーヴス 創元推理文庫 殺人犯が明らかになった後のことが、気になった。 殺人犯の「身近な人」の、その後が。 「身近な人」のその後について、『白夜に惑う夏』と『野兎を悼む春』と『青雷…

「レオ・デミノフ 三部作」

「レオ・デミノフ 三部作」 T・R・スミス 新潮文庫 一作目のレオ・デミノフは、スターリン体制下のソ連の、国家保安省の捜査官。 二作目、三作目と、職業は変わっていく。 登場シーンのレオが、最後のシーンのレオになるまでの、約30年間の物語。 レオが経験…

『ガン・ストリート・ガール』

『ガン・ストリート・ガール』 エイドリアン・マッキンティ 訳・武藤陽生 早川文庫 今回の一曲は、43~44ページに出てきた、サム・クックのライブ盤より。 「It's all right / For sentimental reasons」のメドレー。 youtu.be ダフィにとってサム・クックは…

『アイル・ビー・ゴーン』

『アイル・ビー・ゴーン』 エイドリアン・マッキンティ 訳・武藤陽生 早川文庫 ダフィは、北アイルランドの問題解決の一助となるために、警察に入った。 仕事は出来る。行動力がある。コミュニケーション能力も高い。根気強い。運もある。 ただ、警察という…

『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』

『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』 エイドリアン・マッキンティ 訳・武藤陽生 早川文庫 エマ。 夢見るような、アイルランドのフォークソングに出てくる“悲劇的な死を遂げる恋人”のような、人をどぎまぎさせる愛らしさがある。 アイランドマージーという…

『コールド・コールド・グラウンド』

『コールド・コールド・グラウンド』 エイドリアン・マッキンティ 訳・武藤陽生 早川文庫 訳者のあとがきから 1981年、ベルファスト。血の日曜日事件を皮切りに激化の一途をたどる北アイルランド紛争。IRA受刑者たちによるメイズ刑務所でのハンガーストライ…

『厳寒の町』

『厳寒の町』 アーナルデュル・インドリダソン 訳・柳沢由美子 創元推理文庫 救いが無い。 マリオンは男性だと思って、読んできた。 エーレンデュルが、自分もマリオンのような老後を迎えるのかと悲観していたから。 マリオンが女性だったら、自分を、マリオ…

『声』

『声』 アーナルデュル・インドリダソン 訳・柳沢由美子 創元推理文庫 「 …… 弟ではなくおれが生還したことに罪悪感を感じてきた。あれ以来、おれは責任を引き受けることを避けてきたという気がする。おれは両親に無視されたというわけではなかったかもしれ…

『緑衣の女』

『緑衣の女』 アーナルデュル・インドリダソン 訳・柳沢由美子 創元推理文庫 エヴァは、どんなやつか見たくて、父親を探し出した。 母親は、父親は「あわれな卑怯者」だと、エヴァと弟に言い続けていた。 そして、エヴァと弟は、その父親にそっくりだとも。 …

『湿地』

『湿地』 アーナルデュル・インドリダソン 訳・柳沢由美子 創元推理文庫 エヴァは、何故、父親であるエーレンデュルを訪ねようと思ったのだろう。 あの彼が父親に電話したのは、声を聞くためだった。 でも会いに行った時は、怒りをぶつけ、裁く決心になって…

『湖の男』

『湖の男』 アーナルデュル・インドリダソン 訳・柳沢由美子 創元推理文庫 昔、アイスランドには、「牛乳屋」というものがあったそう。 そこで働いていた女性、アスタの人生が寂しい。 これからのことを思うと、辛い。 でも、強さも感じる。 その強さが、人…

『崩れゆく絆』

『崩れゆく絆』 チアヌ・アチェベ 訳・粟飯原文子 光文社古典新訳文庫 19世紀の末、ナイジェリアのイボ族の世界に、白人がやってくる。 この作品は、文化人類学の教材として読まれていた時もあったそう。 確かに、精霊信仰、一夫多妻制、法などは、未知の世…

『婆沙羅/室町少年倶楽部 山田風太郎傑作選 室町篇』

『婆沙羅/室町少年倶楽部 山田風太郎傑作選 室町篇』 河出文庫 2020年 無常観。 『平家物語』の無常観とは、違う。 時代が下って、変化したのだろうか。 鎌倉時代の人は、「無常」に流されていた。 室町時代の人は、「無常」を表現しようとした。 そんな感…

『戦中派不戦日記』

『戦中派不戦日記』 山田風太郎 昭和20年。 23歳の山田青年は、新宿にある東京医学専門学校の学生だった。 その一年間の日記。 山田青年は、読書を欠かさなかった。 空襲を逃げまどった。 戦争中も敗戦後も、衣食住の苦労は尽きない。 時間も体力も気力も、…

『鬼の詩・上方苦界草紙』

『鬼の詩・上方苦界草紙』 藤本義一 ファラオ企画 1991年 『創作』に出てきた沢山の本の中で、『鬼の詩』が気になった。 藤本義一さんの小説を読むのは初めて。 軽妙でシニカルな作品をイメージしていた。 違った。 『鬼の詩』は、実在した落語家をモデルに…

『創作』

『創作』 著者不明 円盤 何度か探して、見つけることができないでいた。 昭和30年代か40年代の、小説家を目指す青年の日記。 (実際は、昭和48年~昭和50年だった) 高円寺・円盤さんのtwitterを覗いたら、一冊の本が紹介されていた。 「これだ」と思った。 …