『湿地』

『湿地』

アーナルデュル・インドリダソン

訳・柳沢由美子

創元推理文庫

 

エヴァは、何故、父親であるエーレンデュルを訪ねようと思ったのだろう。

 

あの彼が父親に電話したのは、声を聞くためだった。

でも会いに行った時は、怒りをぶつけ、裁く決心になっていたと思う。

エヴァは?

 

エヴァが、苦悩する父親を抱きしめるシーンがある。

エヴァ、天使。

 

でも、先にシリーズの4作目を読んでしまったので、エヴァが天使になれなかったことを知っている。

エヴァと父親の関係も、悲劇的な結末を迎えるのだろうか。

 

エヴァが救った女性は、夫と共に、父親に向かい合うことになった。

夫は、彼女を受け入れた。

罪は、彼女ではなく、彼女の父親と母親にあると理解した。

この作品の中の、唯一の救いであるような。