『厳寒の町』

『厳寒の町』

アーナルデュル・インドリダソン

訳・柳沢由美子

創元推理文庫

 

救いが無い。

 

 

マリオンは男性だと思って、読んできた。

エーレンデュルが、自分もマリオンのような老後を迎えるのかと悲観していたから。

マリオンが女性だったら、自分を、マリオンに重ねなかったと思う。

 

マリオンは、LGBTだったのかも。

マリオンが生きた時代は、現在とは違う。

生きづらく、孤独だったろう。

だから、仕事に打ち込んだとか。

 

手鏡は、天井以外の景色を見るためのものだったかもしれない。

 

マリオンの老後と死は、孤独だけれど、羨ましくもある。

最後の時が近づくまで自宅で一人で療養できて、病院で死を確認されて、速やかに荼毘にふされる。

そして多分、完璧に、望んだとおりの葬儀で終わった。

 

マリオンが救いか。