『コールド・コールド・グラウンド』
『コールド・コールド・グラウンド』
エイドリアン・マッキンティ
訳・武藤陽生
早川文庫
訳者のあとがきから
1981年、ベルファスト。血の日曜日事件を皮切りに激化の一途をたどる北アイルランド紛争。IRA受刑者たちによるメイズ刑務所でのハンガーストライキ。度重なる暴動。記録的な失業率。ストによる停電。職と安全を求めて海外に移住していく人々。頻発する爆弾テロ。
主人公のショーン・タフィは、王立アルスター警察隊犯罪捜査課の刑事。
警察隊員は、ほとんどがプロテスタント。
だけれど、ダフィはカソリック。
IRAは、カソリックの警官を裏切り者とみなし、懸賞を懸けていた。
ダフィは、プロテスタントの低所得労働者が住む町に、家を買う。
何故なら、二階の窓から、昔ながらの、アイルランドの田園風景が望めるから。
北アイルランドの田舎に生まれ育ったダフィは、ゲール語を話すことができる。
大学で心理学を学び、その後は研究者になるか、海の向こうで職を探すはずだった。
1972年に血の日曜日事件が起きた時は、IRAに志願しようと思った。
でも、1974年のある爆破テロをきっかけに、警察になることを決める。
1974年のある日、行きつけのバーが爆破された。
その時、ダフィがバーで飲んでいなかったのは、偶然だった。
バーの前を歩いていて、怪我で済んだ。
店内に入ると、バーの中は死体の山だった。
爆破予告はなかった。プロテスタント系の違法武装組織、UVFが犯行声明を出した。その後、別のプロテスタント系武装組織UDAが、あれは自分たちの犯行だったと声明を出した。さらにその後、UVFは前言を翻し、IRAの爆弾が予定より早く爆発したのだと言った。
この出来事があって、ダフィは警官になることに決めた。
あの瞬間だ。この狂気を終わらせるために少しでも役に立ちたいと、自分が望んでいることに気づいたのは。逃げ出すか、それとも何かをするか。俺は後者を選んだ。
この作品には、沢山の音楽が出てくる。
気になった一曲。
「今から繰り広げられるであろうベルファストの悲劇にぴったりのBGMだ」
BGMは、ベッシー・スミスのカセット・テープ。
なんという曲が流れてたのかは、書いていない。
私は、ベッシー・スミスをいう女性ブルースシンガーを知らなかった。
YOUTUBEで何曲か聞いて、チョイス。