「コニー・ショーベリ警視 三部作」

「コニー・ショーベリ警視 三部作」

カーリン・イェルハルドセン

訳 木村由利子

 

創元推理文庫

 

ショーベリの奥様が、夫に、心理テスト(?)をするところがあった。

「川を渡る女」。

奥様は、登場人物を、「道徳的に悪い」順に並べるように言ったと記憶している。

 

三作目『子守唄』で、事件の元になった出来事が明らかにされる。

その出来事が、心理テスト「川を渡る女」みたい。

 

でも実際に起きた出来事は、その後があるから、辛い。

その出来事の後、登場人物は、悲劇を負って生きていく。

 

 

一人の男性登場人物が、不倫をする。

 

彼は、奥様をとても愛している。

奥様と子供たちと自分のホームを、かけがえのないものと知っている。

 

でも、不倫を止めることができない。

それで、思考の中で、不倫相手の女性を、「あの女」と呼ぶ。

 

この感覚が怖かった。

 

「あの女」に出会わなければ良かったという気持ちは、不倫が続いたらどうなっていったのだろう。

 

 

一人の男性登場人物が、監禁され、カメラに向かって告白するよう強要される。

 

彼の同僚は、彼は、僕たちに助けを求めているはずだと思う。

後に、告白の動画を見た時に、僕たちに向けて語っているんだと思う。

 

でも、監禁された彼は、誰にも助けを求めなかったし、告白は自分自身になされた。

それは、彼自身を解放した。

 

この三部作には、秘めていたものを語ることで殻を破る人が、何人か出てくる。

監禁された彼のように。

 

語ることが、傷を深める場合もある。

 

オスロ警察殺人課特別班』のミア・クリューゲルは、捜査に復帰する条件として、カウンセリングを受けさせられる。

自衛のために、大事なことは話さないようにし、カウンセリング自体をさぼる。

 

監禁された彼も、もし監禁後にカウンセリングを受けられるように手配されても、拒否しそう。

 

語る・語らないを、ショーベリのお母様・エリクソンの奥様で、考える。

 

…ミアも、いつか、誰かに語るのだろうか。

この人に聴いてほしいと。

 

 

三作目の終わり近くで、ハマドの予想(確信か)に驚愕する。

 

この作品は、八作で完結したそう。

ハマドの予想がどうなったのか、知りたい。

 

『お菓子の家』

『パパ、ママ、あたし』

『子守唄』