「テオドル・シャッキ検察官 シリーズ」

「テオドル・シャッキ検察官 シリーズ」

ジグムント・ミウォシェフスキ

田口俊

小学館文庫

 

『もつれ』

 

「ファミリー・コンステレーション・セラピー」のシーンが、不気味。

 

Constellationは、「星座」のこと。

家族を、星座に見立てている。

 

グループ・セラピーで、一人の参加者の家族を、他の参加者が演じる。

 

セラピーの主人公となる参加者は、自分の位置を決め、他の参加者を配置していく。

父親役の参加者はここへ、別れた妻役の参加者はここへ…という風に。

 

死んでしまった家族、先祖や、血縁者も出てくる。

 

参加者は、心に、解決できない問題を抱えた人たち。

だから、楽しい思い出話に花が咲くことはない。

 

セッションが白熱した後、患者が突然セラピーを止めてしまうことは、あることだそう。

 

 

『一抹の真実』

 

ポーランドには、第二次世界大戦後、反ユダヤ運動というものがあった。

ほとんどのユダヤ人が、ポーランドを出た。

 

イスラエルへ。

 

…ガザ。

 

 

『怒り』

 

「怒り」は、シャッキの娘が、父親を表現した言葉。

 

シャッキは、「怒り」というより「キレる」だと思う。

そして、自分の心には、もう一つ、「悲哀」という感情が大きくあると思う。

命のはかなさに対して感じる「悲哀」。

 

最後のシーンのシャッキの感情は、なんだろう。

 

ここに出てきた事件は、これからどのように解決され、或いは未解決とされるのか。

その中で、シャッキの感情は、どう変化していくのか。

 

とても興味が湧く。

 

だというのに、これで検察官シャッキの冒険は終わる。

悲しい。