「チビでデブで無能な警察官ベックストレーム・シリーズ」

「チビでデブで無能な警察官ベックストレーム・シリーズ」

レイフ・GW・ペーション

創元推理文庫

久山葉子 訳

 

『見習い警官殺し』。

 

犯人が分かった後、一人の女性が自殺する。

一通の封書を受け取ったことが引き金になって。

 

自殺だけれど、殺人でもあるような。

この女性は、見習い警官が殺されたのは、自分のせいだという罪の意識を抱えていた。

届いた封書は、そんな彼女を追い詰めた。

 

この封書を送ったのは、誰なんだろうか。

あの男性?

 

警察は、殺された見習い警官リンダの父親は、彼女の日記を隠していると考えていた。

恐らく、隠していた。

 

父親は、日記の中の、ありのままの娘の姿を受け入れられなかったのだろうか。

 

警部補で、哲学博士の女性の論文が、最後に載る。

スウェーデンでは、殺人事件の被害者が女性だった場合、彼女の名前が、殺人事件の接頭辞に付く。

それは何故かという考察。

 

原題には、「リンダ」という名前が出てくる。

何故、翻訳のタイトルでは、外したんだろう。

 

ベックストレームが捜査の指揮をとっていた時は、狂騒曲に笑った。

でも、犯人が特定されてからラストまでは、シビア。

重く、暗い読後感。

 

『平凡すぎる犠牲者』

 

あのベックストレームをタジタジとさせる登場人物が、複数出てくる。

みんなぶっ飛んでいるけれど、ソルナ署犯罪捜査部捜査課警部補モトエレが最恐。

 

エピグラフに、「これは、大人になった子供のための恐ろしいおとぎ話である」とある。

 

最後に、手帳の謎が解き明かされて、どん引いた。

手帳の謎に引っ掻き回されて、とんでもない展開が繰り広げられていた。

 

エピグラフの前半は、「ある犯罪についての物語」とある。

 

そう、これは、おとぎ話で物語。

 

『平凡すぎる犠牲者』の読後感は、もう勝手にして。