『許されざる者』
『許されざる者』
レイフ・GW・ペーション
久山葉子 訳
第一部のエピグラフ。
「目には目を……」
第二部のエピグラフ。
「目には目を、歯には歯を……」
第三部のエピグラフ。
「目には目を、歯には歯を、手には手を……」
第四部のエピグラフ。
「目には目を、歯には歯を、手には手を、足には足を……」
最後第五部のエピグラフ。
「いかなる慈悲をも与えるな。命には命を、目には目を、歯には歯を、手には手を、足には足を……」
法に依らない制裁に、慈悲は無い。
マックスが、お父さんと重なる。
同じ道を進んでいくのか。
重いものを背負ってしまったのだろうか。
それとも吹っ切れたのか。
おぞましい犯罪とおぞましい制裁。
でも何故か、読み終わると豊かさを感じた。
主人公の、国家犯罪捜査局の元長官、ラーシュ・ヨハンソンの子供時代の時間が豊かだったから?
警察官として現場で働いていたころの充実感。
愛する人の幸せを想う包容力。
自分が築いた地位と信頼関係。
元長官の、その後の人生も豊かだったから?
元長官ヨハンソンが、コールドケースの犯人を特定する小説。
事件発生当時、捜査を担当して解決できなかったのがベックストレーム。
犯人が分かった後、ベックストレームが新たな無能ぶりを発揮するオチがある。
生まれてこなかった少女に、ヤスミンの悲しさや寂しさを感じる。