「ジョン・リーバス警部シリーズ & マルコム・フォックス警部シリーズ」
延原泰子訳
定年退職したリーバスだけれど、一作目『他人の墓の中に立ち』では、民間人として、コールドケースに関わる。
二作目『寝た犬を起こすな』では、再雇用制度で、刑事部長として復職する。
一作目で、内部監査室に所属するフォックス警部補が、リーバスを調査する。
フォックスは、確か小学生の時に飲酒を始め、飲酒の果てに奥様に暴力を振るい、離婚し、断酒して、人生を立て直した。
一方、リーバスは、だらだらとお酒を飲み続けているのにも関わらず、健康も社会生活も損なわれていない。
フォックスは、以前、リーバスと一緒に、犯罪捜査課で一緒に働いていた。
その時のリーバスの印象は、会議には出ない、しょっちゅうタバコ休憩を取る、俺に用があったらバーにいるからと姿を消す。
フォックスは、まだ断酒しきれていないアルコールに関して、リーバスにイライラする。
警察の規則に遵守しないリーバスを、絶滅種と切り捨てる。
リーバスだけでなく、すべての警察官にとって、内部監査室の警察官は敵。
二作目『寝た犬を起こすな』では、そんな二人の距離がグッと縮まる。
フォックスは、自分が、リーバスの時代に警察官だったらと思うに至る。
悪人は、どんな方法ででも、この世から抹殺された方が良いという感覚が自分にもあることを知る。
リーバスの飲酒について、心配だと、シボーンに語るようになる。
この二人から成るシリーズは、あと2話は続いている。
リーバス定年退職後のこのシリーズになって、とてもシボーンが好きになった。
クリスティン・エソン刑事が、どのようにリーバスと関わっていくのかも気になる。
翻訳して欲しいな。
この2作のタイトルは、Jackie Leven(ジャッキー・レヴィン)という、ミュージシャンの歌に関連している。
「Another Man’s Rain」と、「one man one guitar」。
「one man one guitar」が好き。
そして、リーバスで知ったジョン・マーティン。
いい感じだったので、you tube巡りをして、CD『solid air』を購入した。
“いったん嘘をついたり、騙したり、隠したりし始めたら……”
リーバスの頭がかすんできた。さまざまな事実がつながったり、ばらばらになったり、もつれたりしている。
マグに紅茶を淹れ、ターンテーブルにジョン・マーティンの〈ソリッド・エア〉を置くと、椅子にゆっくりと座って、夜の長考に入る準備をした。