『ポリス・アット・ザ・ステーション』
エイドリアン・マッキンティ
訳 武藤陽生
ハヤカワ・ミステリ文庫
「解説」を読んでいて気が付いた。
「解説」では、歴代ヒロインが紹介されている。
2作目『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』のヒロインの名は、エマ。
ダフィのお嬢さんの名前は、エマだ。
前作『レイン・ドッグズ』の最後に、娘の名前を決めるシーンがあった。
ダフィが「リリー」を提案したら、ベスは却下した。
そして、次にダフィが提案したのが、「エマ」。
ダフィがこの名前を候補に挙げた理由は書いていない。
でも、なんだか嬉しい。
エマは、一番好きなヒロインなのだもの。
前作で、ダフィは、確かローソン巡査刑事に、仕事を手放すなと言っていた。
当時の北アイルランドの失業率は、恐ろしく高かったから。
今作で、ダフィは、仕事を手放してでも、家庭を守ると決意した。
一番大事なのは、家族の命と生活。
これまで読んだ刑事ものでは、殆どの主人公の刑事の家庭は壊れていた。
壊れて、お互いに良かった場合もあるけれど…。
ダフィ一家には、壊れることなく、幸せな家族でいて欲しい。
でも、海は渡らないで欲しい。
スコットランド人ジョン・リーバスは、ビールをチェイサーにウイスキーを飲んでいた。
北アイルランド人ダフィーは、ダブルのウィスキーをチェイサーに、1パウンドのギネス。
ブルガリア人ヤヴァロフは、ウォッカをチェイサーに、ラガーを飲む。
修道女が、ダフィに言う。
「では、奥さんの待つ家へお帰りなさい。強いお酒からは距離を取りなさい。アイルランドの呪い、それは強いお酒です」
もし、ダフィにパートナーがいない時だったら、修道女は何と言ったのか。
北アイルランド問題とダフィの年表がついていた。
とてもありがたい。
ショーン・ダフィシリーズは、全9巻で完結なのだそう。
最後まで発行されて、最後まで翻訳されますように。