橋の下世界音楽祭 1

橋の下世界音楽祭 1


初めましての、和太鼓奏者の渡邊健吾さん。

太鼓は、切腹ピストルズが背負っているような薄形太鼓の、大きいもの。
それが、地面に置いた台に、立てて据えられてある。
…神社の鏡のように。

渡邊さんは、自分の頭より高い位置にある太鼓を、腕を上げ、ちょっとのけぞり気味に叩く。

太鼓を前に、ガッと股を割って、素足で地面に踏ん張った瞬間、かっこいい!と思った。

あの態勢で巨大太鼓を叩くのは、とても力がいると思う。
踏ん張る素足に、相撲のがっぷりよつを思った。

私の後ろに青年2人がいて、時々、「かっこいい…」とため息をついていた。
そして、演奏が終わった時、どうやったらああいう筋肉になれるのか話していた。

渡邊さんは、上半身裸で、叩いていた。

私も、演奏終盤近くに、筋肉に目がいった。
肩と上腕に、くっきりときれいな筋肉がいくつも浮き出ていた。

贅肉も、無駄筋肉も無い。
でも、ガリガリに痩せてもいない。

美しかった。

心が浮き立つような打ではなくて、「道」のような一途さ、ひたむきさを感じた。
侵しがたいような、神聖さも。

私が神主だったら、一年に一回、神社で叩いて欲しいと思った。
あと、山の中で聴いてみたいとも思った。

演奏後の挨拶は、とても好青年だった。

コーヒーの焙煎士でもあるそうで、希望する人にはレギュラーコーヒーの粉を進呈とのことだったので、いただいた。
飲むのが楽しみ。


そのあと、木遣り唄。

何故、伊勢音頭が日本中にあるのか不思議。
伊勢参りの土産で、覚えて帰って、歌っているうちに、その土地の民謡になったのか。
それだけ、伊勢参りというのは、日本人みんなに大人気のイベントだったということか。

でも、もう一個の伊勢音頭、古市の遊女たちの歌と踊りは残らなかった。
なんで、こっちは残らなかった?