田山花袋 太田玉茗もの
「縁」
「蒲団」に続く出来事。
花袋の口添えもあって、再び東京に文学修行に出ることが許された女弟子。
花袋の養女となり、「蒲団」で花袋の恋敵だった青年との間に子供ができて、駆け落ちして…。
女弟子の赤ちゃんは、玉茗に引き取られる。
玉茗夫婦には、子供が一人しか授からなかった。
それで、自分の妹と花袋夫婦の子供を、養子に欲しいと望んでいた。
そんな背景があって、じゃあ僕がと、赤ちゃんを引き取った。
引き取った後のことは、「幼きもの」で書かれる。
そんなメインストーリーには関係ないシーンが、いくつか印象的だった。
独歩の死。
花袋と玉茗が遊ぶ、花袋の故郷、館林。
その花街で働く、お照。
西南戦争で亡くなった父親の墓参り。
「百日紅」
玉茗は建福寺の住職になる前、1年ほど、津市の仏教系中学校で英語を教えていた。
その間、周りに知られないように、注意を払って、付近のあちこちの遊郭に行っていた。
という告白を、足利の町を歩きながら、花袋にする。
花袋が津市の下宿先に一ヶ月逗留した時にも、こっそり遊びに行っていたと。
花袋がちょっぴり邪魔だったと。
「田舎教師」の青年に重なる。
足利は、花袋が丁稚奉公していた町。
「活動写真」
「縁」に出ていた、館林の芸者お照が東京に移った後の館林の花街。
花袋と玉茗は、芸者の小新を巡って、自分が抜け駆けしたつもりになっている。
芸者を呼んで遊ぶと、今のお金でどれくらい使うんだろうか。
玉茗は、お寺の森の木を数本、売る。