『失踪者』

『失踪者』
シャルロッテ・リンク
浅井晶子 訳
創元推理文庫

真相が明らかになって終わったけれど…。
それが真実かどうかは、分からない。

彼女の死に関わったのは、彼。
これは、事実なのだろう。
でも、彼女が死に至るまでのことは、「嘘」かもしれない。

主人公は、これからずっと、それが「真実」だったのか「嘘」だったのかを考え続けるのだろうか。

そして、もし、それが「嘘」だったとしたら、彼の絶望の内容が変わる。

あれこれ考えると、根と枝が、どれも暗い方へ伸びていく作品。