『道化の森』
タナ・フレンチ
安藤由紀子 訳
集英社文庫
登場人物一覧に、『悪意の森』の主人公ロブの名があったので、読んだ。
でも、出てきたのは、ほんの一瞬だった。
『道化の館』の主人公は、『悪意の森』でロブの相棒だったキャシー。
今回、ロブの出番は一瞬だったけれど、何度となくキャシーはロブを思い出す。
主に、潜入先の共同生活の中で。
その共同生活は、自分たちだけで満たされる、孤立した世界。
かつて、キャシーとロブがいた世界。
キャシーが、ロブのことをそんなに引きずっていたとは思わなかった。
そして、一線を越えてしまった後、ロブは何故あんなに強くキャシーを拒絶するようになったのかが不思議に思えてきた。
何故、話し合うことも拒んだのか。
もし『悪意の森』を再読することがあったら、ロブの断固とした拒絶の意味を分かりたい。
潜入先の共同生活の掟は、「過去は無し」。
でもダニエル以外の同居人の過去は、少しは記述されていたような。
読後、ダニエルの過去については、何も思い出せない。
両親が亡くなっていることは書いてあった。
では、何歳の時に両親は亡くなったのか。
何故亡くなったのか。
両親が亡くなってから、どのような生活だったのか。
事件解決後にキャシーを訪れた、フランクの言葉が気になる。
ダニエルには、罪を犯した過去があるのだろうか。