「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」
文春文庫
間違って、二作目の『その女アレックス』を最初に読んだ。
アレックスが監禁されるところから始まる。
その監禁が怖すぎて、読むのを止めようかと思った。
でも読み進めたら、監禁された理由が分かった。
その理由が、監禁を超えた怖さ。
そして、監禁された理由の、その理由が、さらに怖い。
『アレックス』の後に、一作目の『悲しみのイレーヌ』を読んだ。
終りの方になって、「私、ここまで何を読んでいたの?!」と驚いた。
最後の死体が、カラヴァッジョの絵でイメージされた。
カラヴァッジョの描く、肉体の感じ。
…でも、カラヴァッジョのシーンは妄想の方かもしれない。
ティチィアーノのシーンは、本物。
三部作の最後、『傷だらけのカミーユ』。
カミーユ、本当に、傷だらけ。
色々、悲しい。
作者が「贈り物」と言う、中編『わが母なるロージー』。
これは、『アレックス』と『カミーユ』の間に起きた事件の話し。
せめて、この頃のカミーユの幸せが、続いてほしかった。
アレックス、カミーユ、アンヌ、ジャン・Gは、共通点があるような。
『カミーユ』のラスト近くの一文が、とても寂しい。
なぜなら、どちらももう二度と会えなくなるような気がしているのだから。