「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」

カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」

ピエール・ルメートル著 橘明美

文春文庫

 

間違って、二作目の『その女アレックス』を最初に読んだ。

 

アレックスが監禁されるところから始まる。

その監禁が怖すぎて、読むのを止めようかと思った。

でも読み進めたら、監禁された理由が分かった。

その理由が、監禁を超えた怖さ。

そして、監禁された理由の、その理由が、さらに怖い。

 

『アレックス』の後に、一作目の『悲しみのイレーヌ』を読んだ。

 

終りの方になって、「私、ここまで何を読んでいたの?!」と驚いた。

 

最後の死体が、カラヴァッジョの絵でイメージされた。

カラヴァッジョの描く、肉体の感じ。

 

…でも、カラヴァッジョのシーンは妄想の方かもしれない。

ティチィアーノのシーンは、本物。

 

三部作の最後、『傷だらけのカミーユ』。

 

カミーユ、本当に、傷だらけ。

 

色々、悲しい。

 

作者が「贈り物」と言う、中編『わが母なるロージー』。

これは、『アレックス』と『カミーユ』の間に起きた事件の話し。

 

せめて、この頃のカミーユの幸せが、続いてほしかった。

 

アレックス、カミーユ、アンヌ、ジャン・Gは、共通点があるような。

 

カミーユ』のラスト近くの一文が、とても寂しい。

 

なぜなら、どちらももう二度と会えなくなるような気がしているのだから。