AZUMI

2023年8月27日(日)
池袋 バレルハウス
AZUMI

8月は、3つ、AZUMIさんのライブに行けた。
ギターソロ。横山さんと。ワンマン。
異なった味わいを楽しめた。

この日のワンマンは、ジュークボックスみたいだった。

AZUMIさん限定のジュークボックスがあったら、皆さん、何を選ぶのだろう。
自分は、この日は、「あとはゆっくり眠るだけ」が、気分だった。

小さい音の「リトル・ウイング」。
可愛い。
何度か出てくるフレーズ(?)の所が、小さい音だと、可笑しかった。

 

 

AZUMI&横山知輝

2023年8月26日(土)
泪橋ホール
AZUMI&横山知輝

久しぶりの説法、嬉し。

「ハレルヤ」。
田舎教師』の青年の最期のシーンが浮かんだ。
提灯行列の賑わいの中の死。

日本軍の遼陽占領が9月4日。
羽生での戦勝を祝う提灯行列は、9月7日。

死の床で、青年は、「満州のさびしい平野に横たわった同胞を思った」。

去年行った、橋の下音楽祭で聴いた「ハレルヤ」。
エレキの爆音の合間に、すだく虫の音を聴いた。

9月3日の深夜。4日になっていたかな。

青年は、提灯行列の賑わいの中、虫の音を聴いていたかもしれない。
同胞は、戦闘の轟音の中、虫の音を聴いていたかもしれない。

でも、実際は、青年が亡くなったのは9月22日。
もう、虫たちは鳴いていない。

 

 

『ケルト人の夢』

ケルト人の夢』
マリオ・バルガス=リョサ
野谷文昭 訳
岩波書店


アイルランド独立のための活動を始めたケイスメントは、ドイツに赴く。
蜂起に使用する武器を、ドイツから提供してもらうため。
そして、蜂起の時に、ドイツの陸軍と海軍にイギリスを攻撃してもらうため。

ドイツが約五万丁のライフル銃をアイルランドに)送り、同時にその軍隊が英国領土内で事を起こし、英国海軍によって軍用化されたアイルランドの港を攻撃して反乱軍を支援することが不可欠だ。作戦を同時に行えば(ドイツの攻撃と反乱軍の蜂起)、ことによるとドイツの勝利を決定づけるかもしれない。そうなれば、アイルランドはついに独立し自由になるだろう。

IRBのジョセフ・ブランケットも、ドイツへやって来て、ケイスメントと共に働く。
二人は、イギリスから独立するためには、武力で戦うしかないという点は意見が一致していた。
でも、ドイツの協力無しでも革命を起こすかどうかについては、異なっていた。
ケイスメントは、それは自殺行為で、決して行ってはならないと考えていた。

ブランケットは、ドイツの協力無しでも蜂起は実行すると、ケイスメントに告げる。

「どうやらあなたが飲み込めていないことがあるようです。問題は勝つことではありません。もちろん我々はこの戦いに負けるでしょう。問題は持ちこたえること。抵抗することなのです。何日間も、何週間も。そして我々の死と血が、アイルランド人の愛国心を抗いがたい力に変えるような、そんな死に方をすることです。死んでいく我々一人ひとりから、百人の革命的人間がうまれるのです。これはかつてキリスト教に起こったことではありませんか?」

「兵器や兵士の数に勝る要素をお忘れです。神秘主義ですよ。我々にはそれがあります。イギリス人にはありません」

こんなブランケット達を、ケイスメントは、「いくぶん狂ったロマン主義」と考え、怯えた。
ケイスメント自身、親友から、狂信的な愛国主義者になってしまったと絶縁されているのだけれど。

神秘主義」のところで、『恐ろしい美が生まれている』のイェーツの詩を思い出した。

「おお、言葉は軽く話されるものだ」
とピアスがコノリーに言った。
「たぶん政治言語の生臭さが
われらのバラの樹を枯らしてしまったのさ
それともたぶん苦い海を越えて吹いてくる
ただ一陣の風だったのかな」
「水をやりさえすればよかったのだよ」
とジェイムズ・コノリーが答えた。
「もう一度、青葉を出させ
全面に生い茂らせて、
つぼみから花になるよう揺り動かし
この庭の誇りに返り咲かせるには」

「だがしかし、どこから水を引けばよい」
とピアスはコノリーに言った。
「すべての泉が涸れてしまったというときに?
おお、これほど簡単なことはない
われら自身の紅い血ほど
バラの樹にとってよいものはほかにない」

 

夜久一&横山知輝

2023年8月14日(月)
神保町 ホンジツ
夜久一&横山知輝

窓に、店内の照明が映っている。
境界が曖昧になって、向こうにも奥行が生まれて、幻想的だった。

コントラバスの音が似あう。

「火の車」(?)の時、ピンク・フロイドの『炎』のジャケットが浮かんだ。
燃える人。
燃える人との握手は、良くない契約が交わされた印象。
背景は、港の倉庫街だったような。
でも、沢山の人が二人を取り囲んでいるイメージも、浮かんだ。
みんな、笑顔で拍手している。
想像して、怖くなった。

帰ってから、You Tubeで、「wish you were here」を聴いた。

久しぶりに歌ったという、「王の涙」。
 抱き寄せることもできず
 悲しむことはできず
 振り返ることもできず
 私は王になる

「wish you were here」の歌詞の中の問いかけを、王にしてみたくなる。

 君は分かっているつもりかい?
 奴らと交換してしまったのか?

 

 

AZUMI

2023年8月11日(金)
難波ベアーズ
AZUMI

エレキソロのspace感。
洗脳されているみたいだった。

意識が、どこかに連れていかれてしまう感覚。

一部は、アコギソロ。
ノンストップで55分。

知っているメロディ、知らないメロディが連綿と繋がっていく。
脳が指に指令を出しているのではなくて、指が勝手に進んでいくみたい。

「Yumesaki river blues」も出てきた。

生駒シリーズは、インストが気持ちよい。
まだ、vol.11と12は聴いていないけれど。

Vol.9は、特に好き。
その中でも、「Yumesaki river blues」。

8ミリビデオで撮影された、白黒の映像を見ているよう。
家族の、日常の一コマ。
失われた時。

細部まで詳細な、カラー映像の時もある。
川の流れ。
川原や、川の中で生きる、小さい生き物たち。

一部二部の演奏合計時間は、2時間超えたのではないか。
でも、あっという間だった。

歌わないなんて無理と思ったけれど、歌わなかった。

行けてよかった。
そして、帰れてよかった。

 

夜久一

2023年7月26日(水)
亀有 KIDBOX
夜久一

タイトルはまだ無いらしい、「鯨の鳴き声」と「車が燃える」歌、良かった。
シンボリックな感じ。

「鯨の鳴き声」は、涼しかった。
続く「車が燃える」で暑くなった。

鯨が深海に潜るって、知らなかった。
水圧で潰れないのか。

鯨が深海に潜るって、神秘的。
hermitのような、孤独を求めてなのか。
或いは、出産を深海で行うとか?
死期を悟ると、一人群れを離れるとか。

調べたら、全然違った。
大好物のイカを求めて、深海へ潜るのだった。

鯨、「うまっ!」って鳴いているのか。

 

 

『うらめしい絵』

『うらめしい絵 日本美術に見る怨恨の競演』
田中圭
誠文堂新光社

甲斐庄楠音の「畜生塚」に描かれた21人の女性の中。
その中に、引っ込んで膝を抱えた少女がいる。

著者は、この少女はお伊万の前(駒姫)ではないかと思う。
秀次の首と対面した女たちが悲しみに打ち震えるなかで、彼女だけはその悲しみを共有できないのである。なぜなら、彼女は生前の秀次に会っていなかったのだから

楠音が「畜生塚」を描き始めたのは、21歳頃。
未完のままで終わった。

83歳で亡くなる二か月前に、最後の展覧会が行われた。
その展覧会の挨拶文で、楠音は「畜生塚」について書いている。

「少年の夢は、途方もなく広がっていったのですが、作品の完成を見ないまま、幻となってしまったのも、当然のことなのかもしれません」

この言葉が、お伊万の前に繋がるような。

11歳で秀次に見初められ、15歳になって、関白となった秀次の側室となった。
山形から京都までの、お輿入れの道中に何を思っていただろう。

でも秀次は、秀吉から謀反の疑いをかけられた。
あっという間に、出家させられ、切腹させられた。

お伊万の前が京都に着いたのは、秀次が高野山で出家した頃だろうか。

秀次の切腹は7月15日。
秀次の遺児、妻妾、侍女ら30人ほどが処刑されたのは、8月2日。

お伊万の前の辞世の句。
 罪をきる弥陀の剣にかかる身のなにか五つの障りあるべき

強いなぁ。

楠音の「広がっていった夢」は、お伊万の前の、関白の側室になるという未来。
それが幻になってしまった。

楠音の「当然のこと」って、どういう意味だろう。
お伊万の前にとっては、仏教思想と武士道。

楠音の「畜生塚」は、仏教思想とも武士道とも無縁。

…楠音の「当然のこと」って、どういう意味?