飛鳥坐神社

2022年12月29日(木)
明日香村 飛鳥坐神社

折口信夫が、自身の同性愛の芽生えを書いた「口ぶえ」。

13歳の時、折口信夫は、初めて一人旅をする。
最初に訪れたのが、飛鳥坐(あすかにいます)神社。

大和國高市郡飛鳥、古い國、古い里、そこに二千年の歴史を持った、古い家。それが、安良の祖父(ヂヾ)のさとである。

祖父という人は、飛鳥坐神社に養子として入った。
医者をしていた。
この辺りには皮を扱う人たちが多くいて、慕われていたそう。

祖父母には子供が出来ず、養子をもらった。
祖父との血縁はない。

生まれ育ったのは、大阪の浪速区敷津西。
でも、この大和が自分の根だという感覚があった。

彼はかう考へて来るとからだが鳴りどよんで、不思議な力が、爪さきや髪の木までも、行きわたるのを覚えた。

神社には、お寺で言う「奥の院」みたいな空間があった。
後で調べてみると、そこは、「中之社」と呼ばれるところ。

ここの空気が、違った。
足を踏み入れた瞬間、うわぁとなった。

そんなに広い空間ではないけれど、ゆっくりじっくり歩いた。

ある一点があって、不図、そこで立ち止まった。
そして、空を見上げた。
樹々の枝葉の向こうに青い空があって、美しいものが降り注いできた。

歓びを感じた。

降り注ぐ美しいものを浴びて、歓びを味わっていた。

本殿の鈴を鳴らす音がして、我に返った。
自分が行った時は誰もいなかったけれど、その後何人かの人が続けてやってきた。

なんだったんだろう。
感動とかいう心の揺れではなくて、ただ美しくて、ただ歓びがあって…。


中之社に行く前、本殿の中を良く見ようと思って近づいたら、警報ブザーが鳴った。
神社の方がやってきて怒られることを覚悟して、そこで待った。
かなりな音量で、3分ぐらい鳴っていたような気がする。
でも、誰も来なかった。
本当にごめんなさい。


いい感じの池があった。
石川池とも剣池(つるぎのいけ)とも呼ばれている。