「警察官アリ=ソウル シリーズ」

「警察官アリ=ソウル シリーズ」

ラグナル・ヨナソン

吉田薫 訳

小学館文庫

 

簡潔。

 

ジャン・コクトーの、一筆書きみたいなデッサンを思い出した。

あんな風な、描写。

 

陰影は無いけれど、無駄なく的確。

登場人物たちが隠した闇が、生々しい。

 

アリ=ソウルの父親が失踪した理由が書かれた作品は、翻訳されていない。

翻訳して欲しい。

 

暗い夜を人は

過ごさねばならぬ

長い闇が

ひとたび始まれば

静かに耐える

その深い重みに

これは神の賜(たまもの)と

人は言う

 

賢者ヨウン・グズムンドソンという人の言葉。

 

作者の祖父が書いたシグルフィヨルズル物語』の、冬が終わり春がやってくる一節も良かった。

 

耐えられなくて、飲酒に依存する自分を反省…だけなら猿でもできる。

冬が厳しく長い北欧では、アルコール販売の規制は、絶対に必要なんだろうな。

 

『雪盲』

『極夜の警官』

『白夜の警官』