『ルポ西成』
「もう疲れたやろ?」
これは、ヒットマンが、(主に)西成の路上で、ターゲットに掛ける言葉。
ヒットマンは、貧困ビジネス業者。
ターゲットに声を掛け、生活保護申請に手を貸す。
「もう疲れたやろ」に関わる実話が、2つ出てくる。
ヒットマンが、声を掛けた現場。
ヒットマンの言う通りにして、後悔している人。
『ルポ路上生活』の手配師もすごかったな。
寄り添うことで、ターゲットに惨めな気持ちを起こさせ、追い込んでいく。
読んでいて、奥田睦の『明日なき身』を思い出した。
貧困ビジネスに囲い込まれていくまでの、私小説。
作者に不快感を抱くけれど、それを超えるどうしようもなさに戦慄する。
本の最後にある作者の略年譜は、「消息不明」で終わる。
ミネ子さんと尾関さんのシーンは、ほっとした。