JAZZ ART せんがわ

2022年12月4日(日)
JAZZ ART せんがわ
「素晴らしき特殊奏法の世界」
特殊奏法よん:立花秀輝 (a.sax)・北陽一郎(tp)・高橋保行(tb)・ 本藤美咲(b.sax)山田岳(g)
坂本弘道(vc, etc)

山田岳さんの一曲目。
山田さんは、仮面をつけていた。
それは、模造紙くらいの大きさの白い板。
その板は、口の所に穴が開いている。
そこに、何かを当てる。
そうすると、声が音に代わる。

「特殊奏法よん」の最初の方で、思った。
心霊スポットでやったら、幽霊が反応するのではないかと。
気配、ボソボソ声、物音、呻き声、ため息、遠くのざわめき…。

山田さんの一曲目は、宇宙人と交信しているみたいだった。

山田さんの三曲目は、アコギで、オルゴールみたいだった。
一曲目の、あの仮面の映像が思い浮かんだ。
身振り手振りを付けて、何かを訴えている。
でも、声が音に代わってしまうから、何も訴えが届かない。
何をやってるんだと笑ったけれど、三曲目の音楽の中で思い出すと、悲劇。

 

最後は、全員で。
立花さんが立ち上がった所から、気分がすごく高揚した。

坂本さんが、チェロを逆さに床に付けて、客席を押して回った。
脇を通り過ぎた時、すごい振動が上がってきた。

立花さんが、サックスを吹きながら、ステージの袖から出てきて、袖に去っていく。
高橋さんと、本藤さんのそれも、観てみたかった。

北陽さんが、とても姿勢が良くて、崩れることなくて、それが逆に可笑しかった。

 

何年振り?の坂本さんのソロは、嬉しかった。
とても懐かしかった。
でも、チェロが、より痛ましい感じになっていた。
坂本さんは、昔、チェロを燃やした。
このチェロは、いつか演奏中に亡くなるような気がする。

 

夜久一

2022年12月2日(金)
大久保 ひかりのうま
夜久一

「野ばら」を挟んだ3曲の繋がりが、良い感じだった。
前後の曲はなんだったかな。
全然違うものを撮った写真を、3枚隙間なく並べたみたい。


初めて聴いた、「追放の歌」?
大多数側に属していた人が、ある日、少数側になる。
自分の意見を表明した結果なのか、スケープゴードにされたのか。
多数側は、正義を行い、集団の平和を保てたから、歓びの歌を歌う。
…そんな感じ?


「新しい季節」
ギターの、ウニョニョンて振動する時の音が、とても気持ち良かった。
…もしかして、一部だったら、ここまで細かな振動を聴くことはできなかったということ?


委ねる感じだった。

 

しゃぼん玉感謝祭

2022年11月24日(木)
吉祥寺 MANDA-LA2
しゃぼん玉感謝祭

AZUMI (vo. gt) 良元優作(vo.gt.acc) 横山知輝(wb) 中尾勘ニ(sax) 関島岳郎(tuba) 古池寿浩(tb) and 鈴木常吉 

 

「お茶碗」が、とても豊かだった。
長い合奏の後、AZUMIさんのアカペラ。
ささやかな、生活の断片。
多分、誰もが経験したことのある感覚。


「目が覚めた」
ステージにいる6人の「おじさま」と常吉さん。
みんな少年時代があって、それぞれの家庭の決まりきった朝があったんだろうなと思った。
出身地によって、お母さんの「起きなさい」の言い方は色々。
グズグズしてこのままでは遅刻するという時の、お母さんの雷も色々。
幼稚園児から高校生まで、朝の時間は変化していく。
でもみんな、思い出すと、定番の「家の朝」があるのでは?


「思ひ出」
一番の歌詞に、今日もメープルを思い出した。
草原にいて、風を感じているメープル。
二番に出てくる犬は、野良かなぁ。


「ハレルヤ」

「ハレルヤ」というタイトルでこの歌詞は、怖くないか。

私はあなたの教えに従う
闇を照らす灯りを消すのだ
のところで、突然、そう思った。

そうしたら、一番の歌詞のイメージが変わった。

この歌の中で、水は、空から河へ海へ空へと、循環し続ける。
そのように、争いと平和も循環し続けるのだろうか。

水は、何だろう。
人の心?
心が、正義や、欲や、憎しみや、許しと変化しながら、循環し続けるのだろうか。

個々の憎しみが、海となったら…。
恐ろしい。

そして、朝吉と貞の時代の日本人が「ハレルヤ」を訳すと、「天皇陛下万歳」?


沢山のお客様が、気持ちよさげに揺れていた。
私も揺れていた。

でも、不図、気が付いた。
常吉さんのライブ、ワンマンのライブでは、心地よく揺れているなんてできなかった。

緊張して…。


帰り道、「誕生日の何が目出てぇんだ」って呟いてみて、笑った。

 

 

AZUMI、宮田信

2022年11月20日
新宿 ラバンテリア
AZUMI GUEST:宮田信

お見合い席に座ってしまった。

この距離だったからだろう。
「pretty girl milking a cow」のインストで、メープルを思い出した。

ギターを弾いているのは飼い主のトレンチさんではなくて、AZUMIさんだけれど。

足元に蹲って耳をぴくぴくさせていたメープルが、AZUMIさんを見上げる。
そんなイメージが湧いて、とても幸せな気分になった。

ギターのお腹の中から撮った、弦の揺れも見えるようだったよ。


その真逆で、「何も考えない」はとても怖かった。
目を閉じて聴いていた。

何かクレイジーな気配に囲まれていく感覚。
演奏とは関係ない、音や声。

怖いけど、もっと浸っていたくもあった。
怖いけど美しい、そんな夢の中にいるような感じ。


「SUE」から「そこにあるところ」に移るところが、なんか堪らなかった。
この歌だけではないけれど、どうやって、その一音を選んで、次の一音を選んでいくのか。
私には、とても不思議。

そして、思い出した。
上尾で聴いた「書く」の終わりの方のギター、いい感じだったような…。


アンコールの「ホーボーソング」(?)に、通りの景色がとても似合っていた。
路地にピカピカ点滅するチープな照明、風に翻る色鮮やかな旗。

それに気付くことなく、一人のホーボーが、そこを歩き過ぎて闇の中に消えていく。
そんな孤独。

マッチ売りの少女が、窓越しに、温かい家庭の景色を見る。
そんな孤独。

この感じ、覚えておこう。


初めて、猫をなでることができた。
寝ぼけながら、指を舐めてくれた。

眠る猫は、眺めているだけで幸せな気分。
2匹くっついていると、倍の幸せ。

この感じも、覚えておこう。


最後になっちゃうのかなぁ。


宮田信さんの、好きなものを支える行動、素敵。
日本人の宮田信さんにとって、チカーノの音楽って何なんだろう。
ただ、音楽としての魅力なのだろうか。

半年位前に、ジャマイカのミュージシャンを好きになった。
そして、ラスタマンという言葉を知った。

そこに、チカーノが現れた。

地図を開いて、ジャマイカとメキシコの場所を確認した。
未知な世界。


メープルを思い出した一日の終わり。
久しぶりに、You Tubeで「Acoustic Trench」を観た。
「ハレルヤ」を選んだ。

愛。

 

 

羽生と熊谷と鴻巣

2022年11月19日(土)

 

羽生駅を降りて、何となく建福寺を目指したら、そこは浅間神社だった。

 

建福寺は、駅前にあるはず。

駅前がカラオケ屋だったので、お寺と結びつかず、違う方に行ってしまった。

カラオケ屋は、田山花袋が訪れていた頃は、お寺の森だったのだろう。

 

太田玉茗時代の本堂と、玉茗の詩碑。

この本堂の両側が、六畳間なのだろうか。

田舎教師』の青年が下宿し、田山花袋が仕事をした部屋。

『蒲団』の女弟子岡田美千代が、玉茗に里子に出す赤ん坊と、同門の水野仙子としばらく暮らした部屋。

 

この山茶花(?)の所に、『田舎教師』のモデルとなった小林秀三さんのお墓と文学碑がある。

 

この下に、『幼きもの』の道子、三村千鶴子のお墓がある。

 

 歴代の寺僧の墓地の一隅にやがて人達はその小さい棺を運んで行つた。大きな杉の森の中に、篠や雑草や小さな灌木などの茂って居るやうな處で、暗い淋しい道には、古い落ち葉がじくじくした地面の上に散らばつて居た。草叢の中には、沼の跡でもあつたかと思はれるやうな黒い汚い水が光つて居た。

 丸い輪塔形の墓が其處にも此處にもあつた。

 

今は、カラッとしている。

ここは、とてもいい感じだった。

40センチくらいの高さの、縦横10センチくらいの直方体の、千鶴子のお墓。

それを、過去の住職たちの卵塔(?)が守るように建っている。

その住職たちの卵塔は、千鶴子のお墓よりちょっと背が低い。

そして、なんともかわいい形。

そして、規則的にではなく、ばらばらにある。

 

境内に銀杏の樹が五六本ある。

これが黄葉すると、頗る奇観だ。私は先年其黄葉した時のさまを見たことがある。

そんなに奇観ではない。

でも、とてもきれいな黄葉だった。

毎年、銀杏が一石くらい採れて、売ると10円位の収入になったそう。

一石はどれくらいで、当時の10円はどれくらいのものなのか。

 

この鐘撞台は、玉茗先代が建てたもの?

建て直しているだろうけれど。

その先に、真っすぐの道が続いている。

寺所有の長屋が並んで、飲み屋があったりして、賑やかだった所だろうか。

思春期の頃の玉茗が通ると、酌婦が抱きついてきたりして困ったという通り?

 

この後、玉茗と花袋が、よく遊びに行った館林に行く予定だった。

でも、寝坊して時間が無く、熊谷に戻った。

秩父鉄道は、一時間に二本。

 

利根川を渡るつもりだったけれど、荒川へ。

 

でも荒川へは行けず、その手間への小川で日向ぼっこをして時間を潰した。

 

時間が来たので、都内から、実家近くの鴻巣へ引っ越した先輩の家へ。

マンションの窓から、あっちが浅間山、あっちが秩父連峰、もうちょっと寒くなるとあそこ富士山が見えると教えてくれた。

昔は、稲を刈り取った後、小麦を作ったそう。

ここら辺は、土地が豊かなんだろうな。

 

帰りの高崎線から、先輩が引っ越す前に住んでいたマンションが見えた。

部屋も特定できるくらい、はっきり見えた。

何度か遊びに行ったことがある。

あの部屋には、今どんな人が住んでいるのだろうか。

不思議な感じ。

 

 

 

 

AZUMI

2022年11月18日(金)
上尾 プラスイレブン
AZUMI

「ハレルヤ」
耳を塞ぎたくなるような、兵器の音が無かった。

攻撃が終わった後…が、イメージされた。

ルーマニア日記』に、こんなシーンが無かったっけ?
破壊された村にいた、一人生き残った老婆。
老婆は、気がふれてしまっていた。

きよしこの夜」のバックでアナウンサーの読むニュースが、いくつもの紛争終了を伝えるものになる時が来ますように。

紛争が終わっても、人の心には憎しみが残るだろうけれど。
日常に戻れなくなってしまった人たちが、取り残されていくだろうけれど。


平成時代、クリスマスの前には天皇誕生日があった。

初めてミチロウさんのライブに行ったのが、2003年の天皇誕生日
平成時代、この日には絶対にライブをやっていた。

今年、20回目の12月23日。

この日を、ミチロウさんと縁のある方たちのライブで挟もうと思った。
一方で、ライブに関して財布の紐が緩みっぱなしだぞオマエ、という負の気持ちもある。

そんな弱気を察したのか、ミチロウさんが出てきた。

ミチロウさんの言葉を思い出した。
「破産するまで、ライブに来てください」

もう一個、年内に、遠征したいライブがある。
行っちゃおうかなの方に気持ちが揺れた。

ミチロウさん、悪魔…。


今日は、なんとなくモノトーンな感覚がした。
デッサンではなくて、ジャン・コクトーの線画みたいな。

 

 

田山花袋 太田玉茗もの

田山花袋 太田玉茗もの

「縁」

「蒲団」に続く出来事。

花袋の口添えもあって、再び東京に文学修行に出ることが許された女弟子。
花袋の養女となり、「蒲団」で花袋の恋敵だった青年との間に子供ができて、駆け落ちして…。

女弟子の赤ちゃんは、玉茗に引き取られる。

玉茗夫婦には、子供が一人しか授からなかった。
それで、自分の妹と花袋夫婦の子供を、養子に欲しいと望んでいた。

そんな背景があって、じゃあ僕がと、赤ちゃんを引き取った。

引き取った後のことは、「幼きもの」で書かれる。


そんなメインストーリーには関係ないシーンが、いくつか印象的だった。

独歩の死。

花袋と玉茗が遊ぶ、花袋の故郷、館林。
その花街で働く、お照。

西南戦争で亡くなった父親の墓参り。


百日紅

玉茗は建福寺の住職になる前、1年ほど、津市の仏教系中学校で英語を教えていた。
その間、周りに知られないように、注意を払って、付近のあちこちの遊郭に行っていた。

という告白を、足利の町を歩きながら、花袋にする。
花袋が津市の下宿先に一ヶ月逗留した時にも、こっそり遊びに行っていたと。
花袋がちょっぴり邪魔だったと。

田舎教師」の青年に重なる。

足利は、花袋が丁稚奉公していた町。


「活動写真」

「縁」に出ていた、館林の芸者お照が東京に移った後の館林の花街。

花袋と玉茗は、芸者の小新を巡って、自分が抜け駆けしたつもりになっている。

芸者を呼んで遊ぶと、今のお金でどれくらい使うんだろうか。
玉茗は、お寺の森の木を数本、売る。